SESSION 01
コロナ禍での急成長から、ニーズの多様化へ。「Oneイベント」立ち上げの背景
まずは「Oneイベント」を立ち上げるに至った経緯についてお聞かせください。
大友様:もともとブイキューブはウェビナー事業を展開していました。Zoomが普及する前から「V-CUBE セミナー」というWEB会議システムを作り、例えば採用説明会などをオンラインで実施できる価値をご案内していました。当時は「全国の学生にリーチできるのはすごいけれど、どうやればいいかわからない」というお客様が多く、システムと配信サポートをセットでご提供するモデルが確立されました。その後、コロナ禍に突入してニーズが爆発したことで、1日十数件の商談を毎日こなすような状況になりましたね。スタジオも新設し、人員にも投資して、事業としては大きく成長しました。

―その中でどのような課題を感じていらっしゃったのでしょうか。
大友様:定義した価値を社内外に十分伝え切れていなかったことですね。新しい提供価値を打ち出そうとしても、それを発信する仕組みや体制が整っていませんでした。
特に、「Oneイベント」という考え方を事業として広げていくためには、営業担当者が個別に説明するだけでは限界があると感じていました。お客様に価値を正しく理解していただくためには、会社として一貫したメッセージを発信し、市場との接点を継続的に作っていく必要があったんです。そこで「マーケティングが必要だ」と思ったものの、Webサイトをはじめとするアセットが十分に整っておらず、具体的にどう進めればいいのかという道筋が見えていませんでした。
川戸様:そもそも付加価値を上げるためにはお客様にとって優れたサービスを考案し、それを実証しながら表現する活動に取り組む必要があると思うのですが、当時は社内にそうした余力がありませんでした。事業構想を実行に落とし込もうとしても、目の前の課題に取り組むうちに流れていってしまう。私がジョインして9ヶ月ほど経ち、悩んでいたタイミングでSpeeeさんに出会いました。
SESSION 02
手段ではなく「原作」から始める。外注の枠を超えたパートナーとの出会い
そのような課題がある中で、Speeeをパートナーに選んだ決め手は何だったのでしょうか?
大友様:Speeeさんに決めた背景には、大きく二つあります。
一つ目は、初回の提案から感じた圧倒的な熱量です。当時は別のパートナー様にご支援いただいていましたが、CPAなどの指標は追えている一方で、本質的なPDCAを十分に回し切れていないというジレンマを抱えていました。
そんな中で、Speeeさんはこれまで接点がなかったにもかかわらず、我々の課題を深く捉えた100ページ超の提案資料を用意してくださいました。最初から事業に深く向き合い、そこまで作り込んでくれる会社はなかなかありません。「本気で伴走してくれるんだな」と強い熱量を感じましたし、社内を説得する上でも大きな後押しになりました。
松田:最初にお会いした時、我々としてはBtoBマーケティングの各論だけを話すつもりはありませんでした。パイプライン全体を俯瞰し、事業の上段の話ができないと意味がないと思っていたからです。お話を伺うと、まさにその部分に課題を感じていらっしゃったので、初回から深いディスカッションになりましたね。
大友様:二つ目は、特定の手段に固執しない「弾力性」です。
今のBtoBマーケティングは工程ごとに分業化が進んでおり、支援会社様もそれぞれ得意領域をお持ちだと思います。そのため、どうしてもその領域を中心として「この施策を伸ばしましょう」「このチャネルを強化しましょう」といった提案になりがちな印象です。
ただ、私が求めていたのは施策そのものではなく、事業成長に向けて最適な打ち手を一緒に考えてくれるパートナーでした。Speeeさんは、状況によってはリスティング広告を減らしてSEOに投資することもあれば、別の手段を選択することもあるというスタンスで、特定の手法に縛られていませんでした。
事業全体を見ながら最適解を考えてくれる。そういった弾力性こそが、これからの時代に必要な支援会社の姿だと感じていたので、「まさに求めていたパートナーだ」と思いました。
松田:今の時代は、企業自身が「自分たちは何者で、どんな価値を提供するのか」を明確に定義することが重要だと思っています。その上で、事業を長く成長させていくためには、一時的なトレンドではなく、より普遍的なテーマに向き合う必要があります。
我々にとってその普遍的なテーマが、事業における「市場攻略」、つまりマーケティングの本質です。だからこそ、本質的に事業が成長するのであれば、手段(HOW)はどうでもいい。状況に応じて最適な打ち手を選び続けることが重要だと考えています。
―「手段(HOW)はどうでもいい」という思想は、まさに特定のチャネルに固執しない柔軟なアプローチですね。
大友様:これは川戸ともよく議論するテーマなんです。川戸はそれを「原作」と表現しているのですが、原作さえ確固たるものとしてあれば、それを届けるアウトプットの形は何でもいい。本なのか、映画なのか、動画なのか、記事なのか。それらは単に、その時々で最も届きやすい形に変換しているに過ぎないんです。
川戸様:マーケティングだけを切り取って見ると、最初からアウトプットを作ろうとしてしまうケースが少なくありません。ただ本来は、まず自社ならではの価値や関わる顧客が抱える課題を整理し、それを言語化した「原作」を作ることが先だと思っています。それさえできれば、本でも動画でも記事でも機能します。逆に成果が出ない場合は、アウトプットの問題ではなく、原作の設計が甘いということ。つまり本質は、事業価値をどう定義するかではないかと考えています。
松田:私たちがご支援する中でも、「原作」の質は非常に重要だと考えています。媒体や手法が変わっても、強い原作とそれを届けるべき読み手(ユーザー)への解像度があれば、打ち手は後からいくらでも組み立てることができます。
これまでさまざまな企業のマーケティング部門の方々とご一緒してきましたが、もっともらしい戦略資料はたくさん出てくるけれど、そこには血が通っていないケースも少なくありません。顧客が何に困り、なぜその価値が必要なのかという一次情報がなく、勝つための「原作」が存在していないんです。

その点、ブイキューブ様は原作が非常に強かった。特に大友さんは営業の最前線で事業の変化やお客様の声を長年見てこられたので、「市場で何が起きているのか」「顧客は何に困っているのか」という一次情報を豊富にお持ちでした。その原作をどう整理し、価値として再編集していくか。そこには私たちの編集力が問われます。ただ、強い原作があるからこそ、伝えるべき本質をぶらさずに最適な形へと落とし込み、効果的な施策につなげることができていると感じています。
SESSION 03
消費ではなく「生産活動」。データに血を通わせる「そもそも論」のミーティング
そうしたユーザー視点は、実際のプロジェクトの進行やミーティングにどう影響しているのでしょうか?
小川:例えば、私たちがデータを基に細かなチャネル最適化の話を提案すると、大友さんからは「そもそもこのデータはユーザーのどんな行動に紐づいているのか」と、常に本質的なユーザー視点での議論が返ってきます。データは判断軸として非常に重要ですが、それをどう解釈するか、事業にとって本当に意味がある問いなのかを一緒にすり合わせています。
大友様:マーケティングの数字を見る時も「その裏にどんなユーザーの行動があるのか」という一次情報を大切にしたいと思っています。複数のチャネルが絡み合う中で、単に「CPAが下がりました」という局所的な結果だけを見ていては、本質的な課題解決には繋がらない。私が本当に議論したかったのは、リスティング広告の獲得効率が良い悪いという各論の手前にある「戦略以前の前提」なんです。要は、CPAの効率がどうこう議論する前に、「そもそも今のフェーズで、その手段自体が本当に有効なのか?」という根本的な問いですね。Speeeさんはそこからフラットに、事業の大前提に立ち返って問い直す議論に付き合ってくれました。
川戸様:これは長期的な事業成長における「フェアネス(公平性)」にも繋がりますよね。短期的に数字を追い求めるだけでなく、その数字が本当に事業の付加価値に結びついているのか、真摯に向き合うことが重要だと思います。Speeeさんがそこに対して全く妥協せず、事業全体を俯瞰した厳しい目線をお持ちなので、我々としても信頼を置いて議論ができています。
上保:ブイキューブ様とのミーティングは、「消費活動」ではなく「生産活動」だと感じています。消費活動というのは、自分で深く考えずに時間だけを費やす作業。マーケティングの現場においては、「この施策をやれば成果が出るはずだ」という既定路線の議論になってしまうことも少なくありません。一方で大友さんは、「そもそもそれは解くべき問いなのか?」と前提そのものを問い直されるんです。マーケティング施策の良し悪しを議論する前に、事業や顧客の状況に立ち返り、本当に向き合うべき課題は何なのかを一緒に考えるんです。
その結果、目的を固定しすぎず、既存の枠組みにとらわれることなく、新しい「問い」そのものを生み出していく議論になります。そのプロセスこそが「生産」であり、事業成長につながる価値だと感じています。

SESSION 04
構想を動かす「ロジック」という武器。不確実な変革を突き進む共犯関係
具体的な施策や社内を動かす材料にはどう変換しているのでしょうか。
大友様:私の中にある感覚や、営業時代の一次情報をそのまま形にするのは難しいですが、Speeeさんがそれをロジックにして構造化し、定量的なデータという武器に落とし込んでくれますね。定量的な裏付けがあるからこそ、やや大づかみな仮説であっても事業を変革していく上での基盤になり、社内を動かす説得力に繋がっています。
まさに共催セミナーのテーマであった「共犯関係」ですね。
川戸様:事業を変革するプロセスでは、社内に対しても様々な調整が必要になります。そうした時に、Speeeさんが共に戦う「槍」にもなってくれるし、背中を預けられる確固たる基盤があるというのは非常に大きいです。Speeeさんは、上流における戦略パートナーとしての役割はもちろん、現場における各論の実行力も非常に高い。戦略設計と現場の実行という、いわば「両輪」の機能をチーム全体でしっかりと担ってくれているからこそ、大きいことに挑戦できているのだと感じています。
松田:大友さんが取り組まれている新規事業やイベント領域は、前例がなく変化も激しい不確実な世界です。通常であれば「これぐらいの予算を積み上げれば、これぐらいのCVが獲得できます」という既存の枠に当てはめようとしますが、それでは一歩目を踏み出せないことが多いのが実情です。成功の確証が持てない状況下で、いかにして勝ち筋を見出し、実行可能なロジックへと昇華させるか。あるいは、リスクを最小限に抑えるためにプランBをどう用意しておくか。そういった不確実性をコントロールする部分にこそ、我々パートナーの本質的な価値があると思っています。
上保:プロジェクトを進める中で、状況が変化し「変数」が増えていくことは避けられません。その中で、何を変数として扱い、何を定数として置くのか。その整理をしながら走り続けることを意識しています。
松田:変数を変数のまま置いておくと、意思決定が止まってしまう。正解がわからないからといって足踏みしてしまう、という状態ですね。一方、事業推進において「決めないこと」が一番のリスクになるケースもあります。私はよく「リスクをとらないリスク」と表現しますが、状況に応じて固定するところ(定数)は固定し、まずは前に進める。そうした不確実性を整理し、前に進めるためのロジックをつくることも、我々の大切な役割だと思っています。
川戸様:変数の多い環境にSpeeeさんが入り、ロジカルに整理してくれる。ベンダーという立ち位置でありながら、ただ作業をするだけでなく、事業の不確実な部分も含めて「同じ目線で事業を見守ってくれる」フィードバック役になってくれている。それが、外注の枠を超えたパートナーシップだと感じます。

SESSION 05
CPA半減、SEO1位獲得、セミナー集客からの商談。各施策が繋がり生み出す「相乗効果」
様々な施策を進められていると思いますが、具体的にどのような定量的な成果が見え始めていますか?
大友様:まだ道半ばではありますが、リードはしっかり作れてきています。ちょうど昨日もセミナーから案件が入ってきました。
小川:個々のチャネルごとに明確な改善が見られています。セミナー集客はもちろん、リスティング広告では取り組み開始時と比較してCPAが半減、SEOでは「社内イベント」というキーワードで1位を獲得しました。サイト全体についても、SEOやCVR改善の観点から並行して再設計を進めており、マーケティング機能の基盤づくりも形になってきています。

大友様:一つひとつの施策が成果を出すだけでなく、それぞれが繋がり始めている感覚がありますね。ブランディングを進めながらSpeeeさんにデータやPDCAを回してもらい、Web広告、リスティング、オーガニックSEO、さらに私自身のSNSでの発信や、共催セミナーの開催などがうまく回り始めています。
お客様との商談でも、「この前セミナーを見ました」と言っていただけるなど、接点のきっかけになり始めています。チャネルごとの成果にとどまらず、それぞれの施策が相互に影響し合いながら、マーケティングから営業までをつなぐ流れができ始めている手応えがあります。
松田:その流れをさらに加速させていきたいですね。大友さんから商談現場の一次情報を共有いただきながらマーケティングの意思決定ができる、今の関係性は非常に理想的だと感じています。次のフェーズでは、Salesforceなどのデータも活用しながら、「どの施策が商談や受注につながったのか」までを可視化し、商談現場の学びをマーケティングへ還元する循環を作っていきたいと考えています。リード獲得で終わるのではなく、営業を含めた事業成長全体に伴走していく。それが我々の役割だと思っています。
川戸様:コンテンツをどれだけ作っても、最終的には営業が受注を生み出さないと利益にはならない。単なるリード獲得という部分最適で終わらず、実際の商談やその先の売上までを見据えてデータで繋ぎ込んでいく。外部のパートナー企業でありながら、そこまで事業の深い部分に踏み込んで伴走していただけるのは、我々としても非常に心強いです。
SESSION 06
「人と真摯に向き合う」からこそ残る価値。不確実な時代を共に創るパートナーシップ
お話を伺っていると、次のフェーズへの期待がますます高まります。最後に、今後の展望と、これからの取り組みに向けた意気込みを教えてください。
上保:後半でお話しいただいた内容はまさに、縦と横の座標軸を広げていくということだと思っています。先ほど大友さんにおっしゃっていただいたのは、単に手法やチャネルを増やす「横」の次元の話というよりは、各施策がそれぞれ関係性を持ったひとつのエコシステムを「Oneイベント」のなかで作っていくことです。それを下支えするのが、例えばさきほど話題に出たデータ統合です。最初にマーケティングで獲得したリードから、最終的に営業が入って受注に至るプロセスまでを一貫したストーリーとして紡ぎ、そのフィードバックのループを作っていくという奥行きを持つ作業です。このように色々なベクトルのサイクルがうまく回り出す状態を、今以上に皆様と作っていきたいです。
小川:私たちの事業部も同様に新規事業を立ち上げ、推進している組織です。大友さんたちが描かれる大きな戦略に対して、ただの作業代行ではなく、同じく新規事業を推進する立場からその難しさを理解しているからこそ、それを具体的な形に落とし込む実行面まで徹底的にコミットできると思っています。SEOやCVR改善から始まった取り組みですが、今ではリスティング広告やMeta広告、セミナーのクリエイティブ制作など支援範囲が多岐に渡っています。今後もこちらからの戦略的なご提案を止めず、さらに取り組みを加速させていきたいです。
大友様:私たちがSpeeeさんと築いているような「本質的な議論や会話ができる、良好な関係性」は、すべてのビジネスを動かす土台になると思っています。お互いの信頼関係がなければ、本質的な課題から遠ざかってしまいます。市場の変化が激しく、会社の再編やプロダクトの統合が絶えず起こる不確実な時代だからこそ、ビジネスにおける良好な関係性や、人と人とのコミュニケーションの受け皿になり得るのが「イベント」だと信じています。
イベントという場を通じて、お客様同士のコミュニケーションを活性化し、交流を増やす。まさに私たちがSpeeeさんとの対話で新しい施策を生み出してきたように、そこから新たなアイデアが生まれ、偶発的に新しい事業が創出されていく。そんな受け皿を私たちは提供したいです。
今はAIの急激なトレンドに沸いていますが、このブームもいずれ一度落ち着きを迎えるはずです。その時、最終的に残るのは、やはりちゃんと「人」と真摯に向き合う事業。私たちはそういう価値を生み出せる存在でありたいですし、これからもSpeeeさんと一緒に様々なことに挑戦していきたいですね。
川戸様:事業を前に進めていく上で重要なのは、客観的な視点から問いを投げかけ続けてくれる存在だと思っています。誰からもフィードバックを受けずに進めていると、事業も施策もどうしてもパフォーマンスが甘くなってしまう。Speeeさんは、単に部分的な作業を代行するベンダーではなく、私たちの事業を深く理解した上で、常に強い関心を持って並走し、客観的なフィードバックを返し続けてくれる存在です。こうした心強い存在が伴走してくれるからこそ、自分たちの事業も正しいパフォーマンスを発揮できる。それこそが、Speeeさんの本質的な価値だと感じています。足元の数字をしっかりと作りながらも、今後もお互いに高め合える関係性を維持し、独自のブランドを共に築いていきたいですね。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー本文中に記載の企業名・役職・掲載情報等は、2026年5月時点のものです。











