SESSION 01
「WEB女性自身」立ち上げから現在までのデジタル化の変遷
御社とのお取り組みは2017年がスタートで、今年で8年目に入っています。直近では「WEB女性自身」が急激に成長しているWebメディアとして各所で取り上げられていますね。
森本様:ありがとうございます。収益を生んでいくうえでPV数や流入数は重要な指標なので、第三者から取り上げられるような成果を出せたことは嬉しく思っています。
Speeeさんとの取り組みによる効果は非常に大きく、オーガニック流入は正直伸び悩んでいる時期もありましたが、2023年の秋口から施策の成果が出始め、2024年は通年にわたって継続して伸ばし続けることができました。
現場の編集者たちが、Speeeさんからご提案いただいた施策を1つずつ実装していった結果だと思っています。
インタビュアー:弊社との取り組みが始まった当時は、まだ各社Webメディアを強化している時ではなかったですよね。
森本様:そもそも出版社系のWebメディアとしてはかなり立ち上げが早かったと思います。私は2007年から「女性自身」編集部に在籍しているのですが、しばらくしてまだ黎明期だった「WEB女性自身」にかかわることになりました。その当時はかなり小さいサイトで、週に数本記事を発行する程度でした。ただ2015年ごろから記事配信を本格化させると、それに比例するようにサイトも倍々で成長していったんです。検索領域への可能性は感じていたので、本腰据えてやる決断をしてSpeeeさんにお願いすることにしました。
Webメディアを立ち上げた当初は、本誌を買ってもらうための宣伝目的みたいなところもあったのですが、今では「女性自身」という世界を紙面とWebを活用してどう表現していくか、単純なPV数を稼ぐだけではなくどうしたら多くの読者に届けられるのかを戦略立てて進められるようになってきましたね。
SESSION 02
多くの人に記事を届けるためには手段にこだわらない─「女性自身」編集部の意識改革が引き起こしたデジタル化の加速
現在森本様はDX戦略局の局長として、社内全体のDXを推進されていますよね。出版各社がDX推進における壁にぶつかっているケースが多いと思うのですが、御社の中でも進めていく過程で難しかった点はございますか?
森本様:DX戦略局が立ち上がったのは2024年と最近のことで、私はもともと編集部の一員として「WEB女性自身」を運営してきました。
Web記事用のコンテンツの用意から配信の体制までいろいろと依頼するのですが、黎明期は編集部から人員を割いて進めてもらうこと自体が大変でした。
ただ、SEOを中心に成果が出始めると編集部内の空気が変わってきましたね。
最初はとにかくこちらからお願いすることしかできなかったところから、だんだんと他の編集者も一緒に盛り上げようという意識に変わっていきました。
また、意識改革においては編集長の江口の影響力がかなりありましたね。
紙かWebかの優劣はないし、Webの担当者だけがWebのことを考えればよいわけでもないし、全員で「多くの人に女性自身の記事を届けること」を軸にやっていこうという意識を編集長から浸透させていけたことが非常に大きかったです。
江口様:森本が編集部所属だったこともあって、中から発信をしてくれていたことも大きかったです。
最終的な目的はもちろん収益なのですが、当たり前ですがメディアの収益は「多くの人に読んでもらう」ことで生まれるものです。
編集部で働く社員も自分が書いたものを多くの人に読んでほしいと思うのは当然のことなので、紙やWebの手段にこだわるのではなく、一番読んでもらえる選択肢をとるという意識を全員で育てていきました。
デジタル化が進んだ今もそれを軸にコンテンツの戦略をたてていて、Webだけにすごく力を入れているということではないです。そのコンテンツをまず紙面で紹介するべきか、むしろWebで先に取り上げたほうがよいのか。どのチャネルからどの順番で出すとより多くの人に読んでもらえるのかということを考えながらコンテンツの棲み分けなどもおこなっています。
インタビュアー:DX領域は、会社からトップダウンで言われてもなかなかうまくいかないケースが多いと思いますが、「女性自身」編集部では組織全体の意識が変わってボトムアップで変わっていったのですね。
紙の編集者、Webの編集者、DX戦略局がバラバラにならず、一体感をもって成果に向き合えている背景がよくわかりました。

SESSION 03
なぜ「WEB女性自身」はSEOに注力するのか?メディアとしての戦略とは
「多くの人に読んでもらう」というお話しがあがりましたが、Web集客チャネルの中でもSEOに注力されている背景はありますか?
森本様:検索流入はかなりボリュームがあるので、Webメディアとしては重要だととらえています。
もちろんリファラルからの流入も大きいのですが、どちらかだけだとその浮き沈みの影響を大きく受けてしまうため、安定した状態を維持するのが難しくなりがちです。
検索からの流入の比率を上げていくというのは、媒体の安定性を高めるためにも重要なことだと考えています。

江口様:量的な話に加えて、質的にもSEO対策の価値を感じますね。
我々の場合、いわゆるファーストニュースというよりも、ニュースの裏側を深掘りして伝えるコンテンツを売りにしています。
「女性自身」はしっかりと取材した内容を届けることが特徴なので、ひとつの記事が多くの人に長く読み続けられることを意識しています。その意味でSEOは相性が良いと思っています。
また、例えば他メディアへの配信だと記事を届ける先がそのメディアの読者に限定されてしまうのですが、SEOの場合は特定のトピックスに興味関心の強いターゲット、つまりその記事をぜひ読んでいただきたいターゲットに届けることを目指せるので、大事な取り組みだと考えていますね。
Speeeさんにはそういった「女性自身」編集部の方針自体を理解していただけていることは心強いです。「このコンテンツを通して何がしたいか」がベースにあってこそのSEO対策だと思うので。
媒体ごとに方針も異なりますし、「女性自身」の方針に基づいてコミュニケーションをきちんととれていることが良かったと思っています。
佐藤:弊社内でもディレクターやアナリストと「女性自身」が実現したいことを軸に課題を設定し、議論を進めることを常に意識しています。
SESSION 04
「WEB女性自身」の爆発的な成果の背景 ─ニュースメディアの特性を生かしたSpeeeのSEO戦略
インタビュアー:具体的な弊社とのSEOのお取り組みについてもお伺いしていきたいのですが、御社とのプロジェクトでは、お取り組み期間が長いこともありかなり綿密にPDCAを回し続けていますね。その中でも特徴的なのは、徹底的にテクニカル施策にフォーカスしているという点だと思います。
コンテンツの内容に触れない中でニュースメディアがSEOで戦うというのは、各社が難しいと感じているポイントだと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか?
森本様:Speeeさんとの取り組みが始まった当初から「コンテンツを編集することが難しいので、テクニカルな側面を改善しながらPV数を伸ばしていく方法を提案してほしい」とオーダーしており、ご理解いただいています。
直近では関連リンクの改善や記事へのクローラビリティに影響する部分の改善などのテクニカル施策をきちんと進められたことが、成果につながったと考えています。
佐藤:昨今コンテンツを強化していったほうがよいという風潮があった中で、テクニカル施策部分で勝負すると決めて進めていけたことが良かったと思います。コンテンツを変数として残した状態で進めると、どうしてもそこに逃げ道を作ってしまいがちですが、どうすればテクニカル強化により同じコンテンツでも評価を上げられるのか?ということに振り切ったことでノイズなく進行できました。

森本様:Speeeさんには以前から成果を出していただいていたので、そこは信じて進めようと思っていました。また成果が出ないときでも、なぜ出なかったのかという分析をして次の検証に進んでくれるので、安心して任せられます。
インタビュアー:御社は施策実装完了率も非常に高いですよね。
森本様:実装担当者がかなり頑張っていますね。自発的に前に進めてくれています。
Speeeさんも良い意味で私たちをプッシュしてくれていて、「いつまでにこれをやりましょう」と伝えてくれます。
以前「クライアントに遠慮して言わないのではなく、成果を出すためにディレクションをするのが我々の仕事である」とお話されていたことをよく覚えています。
佐藤:成果を出すために何がボトルネックになっているのか、はっきりさせないとお客様としても気持ち悪いですよね。
現状を把握できていないのか、現状は把握できているが課題がわかっていないのか、打ち手まででているのに実装が進んでいないのか...。
そこはしっかりクリアにして、お客様が見えている状態で進めないといけないとは常に意識しています。

SESSION 05
コンテンツ強化からデータ活用へ─「女性自身」が目指す次なる成長戦略
最後に「女性自身」や光文社としての展望についてお聞かせください。
江口様:私は本誌で強みにしているコンテンツを、さらにWebでも読んでもらえるようにしていきたいなと思っています。
「女性自身」ならではのコンテンツ、「女性自身」といえばこのテーマというものを作って、紙やWebの垣根を超えてもっと多くの読者に向けて広げていきたいですね。
森本様:今はすべてのメディアがより読者との接点を大切にしていくべき時代になっていると思います。これまではSEOなどを強化しながら流入を増やしてきましたが、今後はデータ基盤整備を進めることで流入ユーザーのニーズをさらに深掘りし、より良い企画に繋げていきたいですね
インタビュアー:弊社としてもここはぜひ一緒に取り組みたいと思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。

インタビュー本文中に記載の企業名・役職・掲載情報等は、2025年7月時点のものです。








