「AIが重要なのはわかっている。ただ、他の施策を止めてまで投資する根拠が示せない」

2026年7月23日・28日の2日程で開催した「Speee Marketing Offline Event vol.3:AI時代のマーケティング変革」。メーカー・小売・金融・人材・ITなど、マーケティングの意思決定を担う皆さまにお集まりいただきました。両日とも最も多く聞かれたのが、冒頭の声です。

いまSEOに投資しているが、この先も続けるべきか、AEOに振り替えるべきか。他の施策も動くなかで、なぜ"今あえて"AEOなのか。何から手をつけるかというHOW以前に、投資判断そのものが止まっている。それが共通の状態でした。

第一部では「なぜ今なのか」を市場データから、第二部ではSpeeeの自社実践を、事業側と研究側の掛け合いでお話ししました。その要点をお届けします。

AI経由のCVは、すでに全体の20%を占め始めている

第一部には、マーケティングインテリジェンス事業本部 セールス&マーケティング部長 兼 AEOサービス本部 サービス推進責任者の藤井 慧里(7月23日)と、AIグロースコンサルティング事業本部 AEOサービス責任者の須藤 佑介(7月28日)が、日程ごとに登壇しました。

9割は、気づかれていない

冒頭で提示されたのは、弊社のAIリサーチ&イノベーションセンター(AIRI)の調査データです。AI経由のCVは、すでに全体の約20%を占め始めています。

さらに重要なのは、その内訳です。AI経由CVの約9割は「間接CV」、つまりAIで商品やサービスを知り、後日あらためて指名検索や直接訪問をしてCVするというルートを辿ります。

この場合、GA4上では「Direct」または「Organic」として記録されます。つまり、AI経由の流入が起きていること自体に気づけないのが現状です。

「皆さんの数字の中にも、実はもうAI経由が混ざっている可能性が高い。これが今日の出発点です」(第一部より)

弊社調査:AI検索でのコンバージョンは20%に及ぶ

様子見の前提は、もう崩れた

AI検索対策を先送りしてきた企業にとって、判断の前提はすでに動いています。

ChatGPT上の広告表示は、日本国内では2026年6月19日に開始されました。そこからわずか6週間後の7月24日、CPA入札(CV最適化)が国内でも利用可能になっています。米国でテスト開始から約4ヶ月で整備が進んだ流れが、そのまま前倒しで日本に来ている状況です。

これは「露出を買う実験」から「獲得単価を管理する本格出稿」へ、判断の前提が変わったことを意味します。

さらにその先には、AIが比較検討から決済までを代行するエージェント型モデルが控えています。これが本格化すれば、現在は9割が間接であるAI経由CVの内訳は、AI画面内で完結する直接CVが主役へと移っていきます。AI上で選ばれるかどうかが、そのまま売上に直結する構造に変わるということです。

AIは提案のみでなく代行・実行型のエージェント型へ

企業ができる3つの対策と、足元の優先順位

企業がAIに対して打てる手は、大きく3つに整理できます。

  1. AIからの「推奨」を獲得する(=AEO対策)
  2. AI広告への出稿
  3. コマース連携

このうち足元での最優先はAEO対策です。AIから推奨される内容次第で顧客の購買行動が変わるため、広告もコマースも、オーガニックで推奨される土台があってこそ効いてきます。

その重要指標が SOV(Share of Voice)、AI上で交わされる関連会話のうち、自社が言及・推奨される割合です。

ただし第一部では、その測定の難しさも率直に共有されました。実際のプロンプト(分母)は観測できず、AIの回答(分子)も揺らぐ。しかも成果の9割が間接CVであるため、答え合わせも困難です。

AI時代の重要指標  SOV(Share of Voice)

では、この不確実な指標をどう扱い、どう成果につなげるのか。第二部では、Speeeが自社を実験台にした記録をお見せしました。

第二部:Speeeが自社を実験台にして見えたこと

第二部に登壇したのは、セールス&マーケティング部 マーケティングチームで自社AEO対策責任者を務める村上 恵里子と、AIリサーチ&イノベーションセンター(AIRI)研究開発・事業開発チームリーダーの堀江 尚志です。

出発点は「どの会話を取りにいくか」を決めること

Speeeでは2025年7月から自社AEOプロジェクトを開始しました。最初に着手したのは、測定でも施策でもなく、プロンプトの設計です。

AIに入力されうる質問は無限にあり、そのすべてで推奨されることは現実的ではありません。そこでまず、ターゲットが実際に入力するであろうプロンプトを4つの型に分類しました。

  • S型(Simple):「LLMOコンサルのおすすめを教えて」のようなシンプルな質問
  • K型(Keyword):シンプルな質問に、業種や条件などのキーワードが加わったもの
  • P型(Persona):立場や課題を含んだ、詳細な相談形式の質問
  • C型(Compare):特定サービスと競合を名指しで比較する質問

そのうえで、どの型を優先するかを営業フェーズから逆算して決めています。顧客の購買態度がどの段階にあるかを整理し、案件化・受注に直結する会話を最優先に置く、という考え方です。

漠然と「AI検索対策をする」のではなく、取りにいく会話を先に定義する。この順番が、限られたリソースで成果を出すための前提になります。

Speeeの考える検索プロンプトの型

課題は、ChatGPTとGeminiで違った

設計したプロンプトを各30回ずつ測定し、現在地を把握しました。

そこで判明したのは、想定と大きく異なる事実でした。

  • ChatGPTでは、そもそもSpeeeがほとんど言及されていなかった(競合7社中の下位)
  • 一方Geminiでは高い頻度で登場していたが、1位に推奨されることがほぼなかった

同じ会社、同じサイトであるにもかかわらず、AIによって詰まっている場所がまったく違う。当然、打つべき手も変わります。

「AEO対策をしている」と言えても、どのAIの、どの段階でつまずいているかを特定できていなければ、施策は空振りします。 ここが今回、最も多くの反響をいただいた論点でした。

提案どおりには、動かせない

ボトルネックの特定にはSpeee独自の指標 AI Visibility Score® を用い、そこから導いた打ち手を実行しました。3ヶ月ほどで、ChatGPTでの言及率は競合上位圏まで、第1位推奨率は10倍規模へと改善しています。

ただし、ここに至るまでが一直線だったわけではありません。第二部は、分析・提案を担うAIRIの堀江と、意思決定・実行を担うマーケティングチームの村上が、それぞれの立場から掛け合う形で進行しました。

研究側から出てきた提案が、事業側の事情でそのまま動かせないことは珍しくありません。当日も、外部メディアへの掲載交渉をどう切り出すか、自社で自社を推奨する記事を社内でどう整理したのか、著者を実名・実績付きで出す判断をどう通したのか──といった論点で、両者のやりとりが盛り上がりました。

SpeeeのAEO指標『AI Visibility Score®』

まとめ:AEOに着手する。だからこそSEOをやめない

AI経由のCVがすでに全体の20%を占め、広告もコマースもAI上で成立し始めている。この状況では、AEOへの着手はもはや選択肢ではなく前提です。

ただし、それは「SEOからAEOへ乗り換える」という意味ではありません。

AI Visibility Score®でAEOのボトルネックを分解すると、SEO施策と重複する部分が多くあります。Google自身も、生成AI機能に対してSEOのベストプラクティスが有効だと明言しています。SEOをやめることは、AEOの土台を自ら崩すことにほかなりません。

そもそも検索がなくなるわけでもありません。当面はAIと検索エンジンが併存するため、どちらにも対応が必要です。いま続けているSEO投資は、そのままAEOの土台になります。

問題はその先です。AIで認知されても、流入は指名検索や直接訪問として計上され、AI経由と判別できません。成果が見えなければ、続けるべきか軌道修正すべきかの判断も下せなくなります。

だからこそ、SEOを進めながら、同時に計測環境をつくることが大切になります。

  1. 直接効果:AIからの流入とCVをGA4・ログ解析で可視化する
  2. 間接効果:指名検索量やアンケートから、AI接触の影響を捉える
  3. プロセス指標:プロンプトを定義し、SOVや第1位推奨率を測る

ご参加いただいた皆さまの声

「外部メディアへの交渉は驚きの発想でした。課題やプロンプトによって対応策が異なるという取り組みができていなかったので、そこを考えていきたいと思いました」(通信・IT/マーケティング担当)

「外部のランキングサイトへの掲載依頼はキリがないと感じていました。でも、戦略を立てて注力するサイトを決めればいいのか、と気づきました」(コンサルティング/マーケティング担当)

「AIは特に効果測定が難しいというなかで、PDCAの回し方が貴重な学びでした」(金融・保険/マーケティング担当)

「消費行動の変化だけでなく、AI機能の最新情報を取り入れた内容だったので、非常に納得感がありました」(IT・SaaS/マーケティング担当)

AEO・LLMO への取り組みをご検討中の方へ

「自社がAIからどう見られているか、まずは客観的なデータを知りたい」
「AI検索時代に向けて、手遅れにならないための段階的な投資を検討したい」
このような課題をお持ちのWeb担当者様は、ぜひ一度Speeeにご相談ください。AEOサービス責任者をはじめとする専門のコンサルタントが、今回ご紹介した事例のように、お客様の事業状況に合わせた柔軟な対策プランをご提案いたします。

さらにLLMO/AEOの知見を深めたい方へ

Speeeでは、本記事でご紹介したような「AI時代の検索マーケティング新戦略」に関する 無料オンラインセミナー を定期的に開催しております。最新のLLMO・AEO対策の動向や、さらに詳しい自社事例の裏側を知りたい方は、ぜひご参加ください。

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著者情報

著者: Speee Marketing Insights編集部

株式会社Speeeが運営する「Marketing Insights」は、"事業を進化させるデジタルマーケティング"をテーマに情報を発信しています。SEO、AEO、Web広告、CVR改善などの実践的なノウハウから、戦略策定や市場動向を読み解く深い洞察まで、幅広いコンテンツをお届けしています。