SESSION 01
マーケティングの上段戦略から一緒に取り組めるパートナー探し
Speeeと取り組みを始める前の課題は何でしたか?
河田様:オーガニック領域に関してはこれまで注力しておらず、流入のほとんどが「バクラク」「バクラク経費精算」などの指名キーワード経由という状態でした。
そこから非指名のキーワードに拡張して、より多くのお客様にリーチしていこうとなったときに、そもそも戦略面を考えるうえでも、それを実行に移すうえでもリソースが不足していました。
また、付け焼き刃で動かしている施策はたくさんあったのですが、もう少し戦略的に体系立てて動きたいと思っており、戦略と実行の両面をバックアップしていただけるパートナーを探していました。
椿様:バクラクのマーケティングには私のほうが早いタイミングから関わっていたのですが、当時はWebサイトやマーケティング周りのことを、少数のメンバーで回しているというところから、やっとCVR改善などの施策ができるようになってきたタイミングでした。
その中で河田も含めメンバーがジョインしてくれて、やるべきことはたくさんある状況だったのですが、複数プロダクトを展開している事業でもあることから、優先順位をつけて本当に重要なところから進めないとうまくいかないと思っていました。
インタビュアー:「マーケティングの上段の戦略から外注のパートナーを入れる」ということはお二人の共通認識だったのでしょうか?戦略は事業会社側で決定し、決まったことを外部のベンダーにまかせるといったケースが多いと思うのですが。

河田様:当初から「手を動かすところだけやってね」という形でパートナーを入れることはあまり意味がないと思っていました。
「マーケティングの数字をよくしてください」と言われたら、「上段の戦略から入らせてもらえればもっと価値提供できるのに…」と考えているベンダーさんはたくさんいらっしゃると思うんですよね。
椿様:我々が提供しているサービスのマーケティング戦略をたてるにあたり、業界やプロダクトの知見がかなり必要になってくるので、深く入り込んでいただかないと良い施策をご提案いただくことが難しいと思っています。

過去に外注を検討した際にもなかなか期待通りの施策を出してくれるベンダーさんがいなかったこともあり、上段の戦略からしっかり一緒に取り組んでいけるという点は、パートナーを選定する上では重要なポイントでした。
あとは、1ヶ月などの短期で結果を出すというよりも、 「中長期的な視点を持って取り組みを継続できるパートナーである」という点も重視していました。
その中でSpeeeを選んだ決め手は何でしたか?
河田様:SEOに特化したご提案をくださるベンダーさんは他にもいらっしゃったのですが、「バクラクのマーケティング全体を成功させるための1手段として、SEOはこのように機能していくべきです」という視座での提案を持ってきていただけたのは、Speeeさんだけだったからです。
当社が戦っている業界や商材は、小手先でSEO対策だけ頑張りましょうというような話では、絶対にうまくいかないんだろうなと感じていた中で、今回のご提案を受けて、改めてマーケティング全体の視座でみないとだめだと思いましたし、それを一緒にやっていけるのはSpeeeさんだけだなと。
わかりやすい例でいうと、多くのベンダーさんがGA4の流入状況の数字の整理から始まり、そこに紐づいてSEOやCVR改善でこういった施策をやりましょうという内容に落ちていくのですが、マーケティング全体を俯瞰した場合には、局所的な改善行動に留まってしまうケースもあると思います。
その中でもSpeeeさんからいただいた提案は、マーケティングの上段戦略から入って、実際に獲得したCVやリードが最終的にどう受注に繋がっていくのかといった、マーケティングにとどまらない営業まで見据えた中長期的なビジョンが含まれる内容だったところが、大きな違いでした。
Speeeさんにこういった提案をしてくださいという細かい注文を出した記憶はないのですが、表現を選ばずにいうと、こちらのニーズをくみ取って勝手に視座の高い提案を出していただいたという形でした。
SESSION 02
事業グロース実現のために1つの施策にとらわれない─マーケティング戦略の「ブレイン」としてのSpeeeの介在価値
実際のお取り組みがスタートしてから御社のマーケティングやお二人の業務状況に変化はありましたか?
河田様:まずはとにかくカオスだったマーケティングの状態を整理して、どこにウエイトを置くか決めることができたことは大きかったですね。そこのブレイン機能を担っていただけていることがありがたいです。
椿様:これまではとにかく施策を大量に出してはいたものの、施策ごとの達成確度やインパクトは整理できておらず、またそこに私や河田が日々つきっきりでやっている状況でした。
Speeeさんに入っていただいたことで、マーケティング全体の戦略やオーガニック以外のチャネルとの連携、営業とのやりとりなど、本質的な活動にしっかりフォーカスできるようになったことが良かった点かなと思っています。
インタビュアー:「ブレイン」としてコンサルを使っていくときに、細かい指示を出さなくても、どれだけ最初に持ってくる提案の筋がよいか・的を射ているかという点が重要かと思うのですが、その点はいかがでしょうか?
椿様:最初に持ってきていただくご提案自体の確度が高いこともそうですし、ディスカッションしていく中でよりよい提案や実行が難しいことへの代替案などが出てくるスピードもかなり速く、そういった部分で非常によいお取り組みができているなという印象です。

濱本:弊社としては、単にSEOで順位をあげましょう・CVRをあげましょうというのではなく、御社内で設定されてるような高い目標やその先にある事業の成長がゴールだと考えているので、良い意味で制限を設けずに幅をもたせて思考していますね。
直近、河田様からは「垂直と水平」という表現をいただいており、「垂直」は今見えている各施策の精度を高めるための深堀り、「水平」は既存のチャネルごとの施策に囚われないマーケティング戦略だととらえています。現状「垂直」側のSEOやCROの施策のご提案はもちろんですが、それだけでは御社の目標には到達できないことが見えてきたので、「水平」側、つまりSEOやCROという手段にとらわれず、マーケティング全体でどのように最上段の目標を達成できるかということを河田様・椿様とは議論させていただいています。
また、レスの話がありましたが、高い目標を1日でも早く達成するためには1秒たりとも無駄にはできないので、最速でベストなものを考えてご提示することは意識しています。
SESSION 03
多岐にわたるプロダクトと開発スピードの速さ─難度の高い「バクラク」のマーケティング
先ほど「垂直と水平」という言葉が出たのですが、BtoB商材や御社ならではのマーケティングの複雑性や難しさはありますか?
河田様:当社が提供しているプロダクトはリードタイムが長いものも多く、お客様の入口から出口が1本道ではないと思っており、複数の媒体・チャネルで接触機会があります。
その複雑なルートの中で、「垂直」と表現した1施策の改善をおざなりにしたいわけではないのですが、他のルートまで視野に入れた「水平」側を考えることができないと、本当の意味での目標達成に対する課題と打ち手の優先度付けにはならないなと。
その点で私たちが見落としてしまう部分もあると思うのですが、多数のクライアント様を抱えているSpeeeさんの知見をもとに幅広くみていただいて提案いただけることは、事業グロースをよりスピーディーに進めることに繋がると考えています。
インタビュアー:例えばBtoBの場合、同じ獲得リードの中でもいかに購買フェーズが進んでいるホットなリードか?ということが問われますよね。おっしゃっていただいたルートというのは、このホット化するまでの道のりのパターンといったイメージでしょうか?

河田様:その通りですね。またそもそもリードを獲得する入口をもっと広げることできないのか、Webサイトへの接触をいま使っていない手段で作れないのかといったことも常に考え続けなくてはいけないと思っています。
それに加え、当社は新しいプロダクトをコンスタントに、かつ大量に出していて、それぞれのプロダクトごとにお客様のジャーニーが微妙に違うので、一緒くたに語れない部分があり、通常のBtoB製品よりもさらに複雑性が増しているといえます。
インタビュアー:様々なデジタルマーケティングの先進企業をご覧になってきたお二人からしても、「バクラク」のマーケティング難度はかなり高いと言えそうでしょうか?
椿様:短期間でこれだけのプロダクトを立ち上げるというスピード感と、プロダクト間でクロスセルやアップセルを生み出すという複雑性の観点では、難易度が高いですね。
一般的には2-3年かけて実現するような内容を半年とかでやろうとしているので…。
あとはプロダクトの中の機能が増えるといったこともあり、毎日内部環境や強みが変化していくのでその点でも特殊だといえると思います。
河田様:目まぐるしく変わっていくプロダクト側に対して、お客様をどうアジャストさせていくかということを日ごろから考えていますし、プロダクト側の改善スピードにマーケティング側の改善スピードを追いつかせることは早めに実現していきたいポイントではあります。
また、プロダクトチームは主にプロダクトと想定されるユーザーの目線に軸足を置いて販売を思考しますが、マーケティング側を司る我々としては、顧客から見て刺さるかどうかはもちろん、実装難易度や費用対効果といった話もあるので、日々議論しながら進めています。
そこはお互いのチームへのリスペクトと理解が常にある状態で動かしていくことが大事だと思っています。
SESSION 04
定量的なデータ×定性的な顧客のニーズに基づいたマーケティング支援
インタビュアー:こういった難度の高いマーケティングの議論に対して、外部のコンサルが上段を理解し、都度状況にあったご提案をすることはさらにハードルが高いと思うのですが、Speeeと目線をあわせて取り組みができている背景はあるのでしょうか?
河田様:プロダクトのここが変わった、などの細かい話は日々転がっているのですが、根本となる当社のプロダクトの設計思想やマーケティング部隊の思想について、プロジェクトの初期段階で時間をかけて綿密にすりあわせて、Speeeさんにご理解いただけたことが大きいと思います。
それがあるので、基本的に本筋がずれたり時間軸がずれたりといったことは起きないですね。
インタビュアー:具体的にこの初期段階のすり合わせが生きたエピソードはございますか?
河田様:例えば、当社のプロダクトを大きく分けると支出管理領域のSaaSと法人カードの提供があり、私と椿は支出管理領域のリード数獲得をメインで追っているのですが、実は法人カードを入口としてクロスセルやトスアップで検討していただくお客様が一定数いることが分かっています。
じゃあ法人カードの入口を増やしていけば支出管理領域のリードも増えるのではないかという議論が出た際に、Speeeさんからどういったリードが支出管理領域にトスアップしやすいリードなのか、そのリードを獲得するにはどうしたらよいのかといった提案をいただけたことは、まさに当社のプロダクトやマーケティングの概念、各プロダクトのお客様のインサイトをご理解いただけているからだと思いました。
インタビュアー:プロジェクトの中で、定量的なデータに基づくファクトと、定性的なお客様のニーズの仮説を行き来しながら、戦略の精度を上げていっているということですね。
河田様:我々の組織が置いているミッションでもあるのですが、「WHO(誰に)-WHAT(どんな価値を提供するのか)」をマーケティングの根幹に据えているので、例えば営業部隊がお客様と接してどのようなフィードバックをいただいたか、などの定性的なデータからヒントを得るということは日ごろから意識しています。
一方で当社の行動指針の一つでもある「Fact Base」という考え方に基づいて、実際のデータ上の裏付けも大事にしており、定性と定量でシナジーを生み出して動きたいと思っています。
濱本:弊社としても定量的なデータをどう解釈して効果的な打ち手を導くかはこだわっていますね。
またプロダクトが多くお客様のニーズが多岐にわたる中で、一律でWHAT(どんな価値を提供するのか)を決めるのではなく、プロダクトやユーザーごとにWHATをわけることで精度が高まると考えているので、常にお二人との会話の中でユーザーの理解度を深めてご提案することを意識しています。

椿様:どうしてもWebマーケティングはデータに寄ってしまいがちで、GA4やセールスフォースの数値を見て判断してしまうんですよね。
でも数値変動の裏には必ずお客様の行動や心理状態・広告面の変化などの定性的な背景がするので、単に数値内訳を調べて表面的に解釈するのではなく、そういったところまで掘り下げて本質をとらえた施策を打ちたいと思っています。
濱本:これからデジタルマーケティングを強化していくというフェーズにおいて、「感覚的な仮説は不要で、数字で語れないといけない」といった誤解をされてる方も結構いらっしゃる気がします。
一線でユーザーに触れている人の肌感と、実際の数字が合っているという状態こそが理想的であるので、ここまで数字をしっかりと伸ばしてこられているLayerX様が定量定性の両面を捉えることを大事にされているということは、マーケターなら耳を傾けるべきことだと思います。
SESSION 05
「バクラク」の価値をお客様にいち早く届ける─事業成長をさらに加速させるために
最後に今後の展望を教えてください。
河田様:当社はプロダクトのリリースとその改善が非常に速い会社であり、プロダクトの新しい付加価値をいち早く見込みのお客様に届けるために、マーケティングのスピード感をあげていきたいと思っています。
プロダクトの新たな付加価値をお客様に届けるためのチャネル戦略や訴求の方向性など、「翻訳する」作業のスピードが現状追いついていないので、そこをSpeeeさんと一緒にお取り組みできると嬉しいです。
例えばこのプロダクトでこういう機能が追加されたんですけど、お客様にはどういった伝え方がいいんだろうとか、そういったことが今後もたくさん出てくると思っていますし、うまく仮説検証が回せるようになることで、ノウハウの横展開もできるようになり、さらにスピード感が上がると思うので、一緒に議論していきたいですね。
濱本:ありがとうございます。ぜひ一緒に実現させましょう。
御社とのプロジェクトはまだ1周目なので、セオリー的な施策や1次仮説を実行に移してみようということが多いフェーズなのですが、その後の壁を越えられない企業も多くいらっしゃる中で、河田様・椿様としっかりチームを組みながら、御社のサービスを使われるお客様の視点にたって、探索していきたいと思っています。
椿様:我々の身近にいる業界だと、比較的LayerXという会社やバクラクというサービスは認知されるようになってきたかなと思っているのですが、もっと広くいろいろなお客様に価値を提供していきたいと考えています。
今そこに対してやっとチャレンジできる1歩目を御社との取り組みの中で踏み出せたという状況なので、我々のことを知らないお客様に対してどういった訴求ができるのか、どういった手法をとれるのかというところをさらにやっていきたいなと思っています。
インタビュアー:難易度は高いですがワクワクする内容ですね。引き続きよろしくお願いいたします。

インタビュー本文中に記載の企業名・役職・掲載情報等は、2025年7月時点のものです。








